真夜中の灯り
夜中に洗濯物を干していたら、あっちの灯りが消えた。
次の瞬間、こっちの灯りがついた。
そっちの部屋の住人も夜更かししてる。
向こうの灯りの中では誰がどんな話をしてるかな。
夜中に洗濯物を干していたら、あっちの灯りが消えた。
次の瞬間、こっちの灯りがついた。
そっちの部屋の住人も夜更かししてる。
向こうの灯りの中では誰がどんな話をしてるかな。
夜の音を、聴く。
ロイヤルブルーの空には、白い月。
星のきらめき。
ひんやりとした風を吸い込む。
「寄り道してる場合でもないもんねぇ」
その通りだ。
腹の中にずっしり重い石でも投げ込まれたような気がした。
年ふれば齢は老いぬしかはあれど 君をしみればもの思ひもなし
「少納言や、“香炉峰の雪はいかならん”」
「一番好きな人に、一番に愛されようと思いなさい」
階段をどんどん下へ降りていく。
行き着いた先で、誰かが椅子に座って待っていた。
「あなたは、誰ですか?」ときいてみると、その人は、こう答えた。
「わたしは、あなたです」
わたしは「わたし」の前にある椅子に座って彼女と向き合った。