とても暑い日に、
この暑さをなんとしようと、
扇で煽いだ風なんかじゃぬるくて、
氷水に手をひたしたりして騒いでいるところへ、
真っ赤な薄様を見事に咲いた唐撫子に結びつけた手紙を
受け取った時には、
相手が手紙を書いた時の暑さ、
私への好意の深さを感じて、
片手は違うことをしていても
決して手放せなかった扇でさえ
思わず置いてしまうのだった。
薄様は鳥の子紙の薄いもの。和紙で薄いの、ありますよね。あれです。
唐撫子は石竹という花。色は濃いピンク色です。
→写真と説明
当時手紙の用紙は添えた花と同じ色にするというのが一般的だったので、
この場合もピンク色の紙に書かれていたと推察されます。
「真っ赤な」とは書いたけど、この場合の赤はこんな色のことだったのかもしれない。
……なんていい加減な。
参考
おしゃべりな部屋