どこの世界でもそうだけど、初めて入る世界にはそこにしかない言葉、というものがあって、遭遇すると少なからず戸惑う。 オーケストラにもそんな謎の言葉がたくさんあり、しかも誰も何の疑問も持たずに使う。 私が首を傾げたり、おもしろいと思った言葉を挙げてみる。
「チャイゴ」 チャイコフスキーの交響曲第5番の略称。チャイ5。 学生の場合、「今日はチャイゴをやる」というと、中国語(チャイ語)と混同し、混乱が生じる。 ちなみにチャイコフスキー自体の略称は、「チャイコ」。紛らわしい。 こういった略語はかなりおもしろい。(これらの言葉はこの楽団固有の言葉かもしれない。他の楽団では別な言葉を使っている?) ベートーベンだと、「べト1」(交響曲第1番)とか。(音の感じが汚い) ドヴォルザークだと、「ドヴォ7」(交響曲第7番)とか。(田舎っぽい) ブラームスだと、「ブラ1」(交響曲第1番)。(一般の人は、ブラッド・ピットか下着を想像しそう) 「第9」とか「運命」とか「未完成」とか、一般的に有名な名称がある場合にはあまり使わないようだ。 バッハやモーツァルトのように略しにくい作曲家には使わないかもしれない。
「ゲーセン」 G線。弦楽器の弦の一つ。弦楽器の人はよく使うだろうけど、私には初耳だった言葉。 弦楽器の男の子が「ゲーセンを買いに行く」と言った時、「ゲームセンターで何を?」と聞き返して冷ややかな視線を向けられた。 ちなみに、ヴァイオリンにはE線(エーセン)、A線(アーセン)、D線(デーセン)、G線(ゲーセン)と4本の弦がある。 バッハの「G線上のアリア」は、「ゲーセンジョウノアリア」なのだそうだ。 曲名だけだとあんまりきれいに聞こえない。
「パーカス」 パーカッション(打楽器)の略称。 これは他の楽団でも使っていると思うし、自分たちでも名乗っている。 それにしても、もっと頭のよさそうな名前はないもんだろうか。
「ゲネプロ」 本番前の通しリハーサルのこと。ドイツ語の「Generalprobe(ゲネラルプローベ)」の略称。 たぶん私がものを知らなすぎただけ。 「11時からゲネプロです」といきなり言われても、「ゲネプロってなんですか?」とはさすがに聞けず、なすがままやってみて理解した言葉。 当たり前だけど、プロゴルファーがあらわれるわけじゃなかった。 |